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『ロッキー』シリーズを語る⑥ 【ロッキー・ザ・ファイナル】

今回は『ロッキー・ザ・ファイナル』のお話です。

第6作目 2006年
『ロッキー・ザ・ファイナル』
(原題:ROCKY BALBOA)
監督:シルベスター・スタローン
脚本:シルベスター・スタローン



前作の『ロッキー5/最後のドラマ』から、実に16年の時を経ての新作でした。

もう流石に続編は作られないだろうと誰もが思っていました。
だってスタローンも(当時)60歳でしたし。
スタローンが『ロッキー』の続編を作ると発表した時、世界中が驚きましたからね、悪い意味で。

「60歳でロッキーをやるなんて無理がある」
「まだ昔のヒット作に頼るのか」
「過去の栄光を汚すだけだ」

まぁ仕方がないとは言え、散々ボロクソに言われましたよね。

が、そこは我らが脚本家スタローン。
そんな批判なんて想定の範囲内だったわけです。
映画内のロッキーも現実のスタローンと同様に、ボクシング復帰すると宣言したら世界中から馬鹿にされるんです。
そしてスタローンの60歳とは思えないムッキムキな肉体も観客に衝撃を与えました。
結果、散々批判していた連中を真正面から返り討ちにしてくれたわけです。


個人的に思うのは、この『16年』という期間が空いた事が結果的に良かったのだと思います。
前回の記事でも書きましたが、『ロッキー』シリーズは『ロッキー4/炎の友情』で異常なほどヒーロー化してしまいました。
『ロッキー5/最後のドラマ』でロッキーを引退させてリセットをはかりましたが、『ロッキー5』の時点ではまだそれほど時が経過しておらず、ロッキーのヒーロー性を完全にリセットしきれていませんでした。
が、流石にロッキーも60歳ともなれば衰えていて当然です。
それにより、1作目の時と同じ「誰からも期待されていないロッキー」に戻る事ができたのです。


さて、ストーリーについて。
今作ではロッキーの愛妻、エイドリアンがすでに他界して3年が経っているというところから始まります。
ロッキーが「女性の癌だった」と言っている場面があるので、おそらく乳癌か子宮癌だったのではと推測できます。
それはさておき、過去のシリーズではロッキーが生来のダメ男っぷりを発揮した時はエイドリアンがそれを軌道修正するという役目をおっていましたが、今回はそのエイドリアンがいません。
エイドリアンを失った年老いたダメ男、ロッキーの物語となるわけです。

現在のロッキーはイタリアンレストラン『エイドリアンズ』のオーナーをしています。
映画内では語られませんが、裏設定ではこの店はエイドリアンが存命だった時、ロッキーと二人で夫婦で始めた店だったそうです。
エイドリアンがイタリアの家庭料理を作り、ロッキーが客の相手をする。
二人だけでまわせる程度の小さな店だったそうです。
日本で言うなら、常連さんを相手にする居酒屋みたいなイメージでしょうか?
それがエイドリアンが亡くなってしまったため、ロッキーは料理人やウエイトレスを雇い、現在のイタリアンレストランにしたという事みたいです。

そんなロッキーの日課は、毎朝エイドリアンの墓へ行き、自分専用の折り畳み椅子に座ってエイドリアンと会話をする事。
エイドリアンの墓の近くにある木の枝に自分の折り畳み椅子を引っ掛けて隠しているところなんて、いかにもロッキーらしさが出ているシーンです。

そんなロッキーの様子を見続けているポーリーは「もういい加減に忘れろ」と言うのですが、ロッキーは「俺にとっては宝物だ」と言い、忘れる事はできないと答えます。

一方、息子のロバート(マイロ・ヴィンテミグリア)は地元の企業に就職し、サラリーマンをしています。
表向きはロッキーと仲良くしていますが、どこへ行っても「ロッキーの息子」と言われる事に不満を抱え、自分がどれだけ頑張っても「父親の影に霞む」事をコンプレックスに思っており、ちょっとした確執があります。

そんな中、テレビ番組で「過去の人気チャンピオンと現在のチャンピオンが戦ったらどっちが強いのか?」という企画が放送されます。
過去のチャンピオンはロッキー、現在のチャンピオンは無敗のメイソン・ディクソン(アントニオ・ターバー)。
最新のCG技術を駆使し、グラフィックで再現した若いロッキーとメイソンのコンピューター戦が放送され、結果はロッキーのKO勝利。
この放送が評判になり、たまたまこの番組を観ていたロッキーに「ある感情」が芽生えます。
自分がエイドリアンや息子以外で好きだったもの、それはボクシング。
ボクシングに情熱を向けてみれば、この寂しさを少しは紛らわせる事ができるのではないか?
そんな単純な思いつきから再びボクシングをやってみようかという気持ちになるわけです。
ここで重要なのは、この時のロッキーは別に昔のような活躍を考えていたわけでは無いという事です。
定年退職したオッサンが「ジョギングでもしてみるか」程度の軽い考えだったのです。
ですが、そのロッキーの復帰話に目をつけたのが現チャンピオンのメイソンのマネージャーです。
メイソンは無敗のチャンピオンですが、毎回早いラウンドで勝ってしまうせいで人気が低かったのです。
そのため試合のチケットは売れず、チャンピオンなのに金が稼げないという悩みがありました。
先日のコンピューター戦のテレビ企画のおかげで、もし本当にロッキーと試合ができるなら間違いなく客は集まるし、上手くいけば人気回復にも繋がる。
そこでロッキーにエキジビションマッチ(公式ではない余興試合)を申し込みます。
最初は渋るロッキーでしたが、チャリティーマッチ(収益の一部をチャリティー団体に寄付する)と説得され引き受けます。
これに当然のように大反対するのが息子ロバートです。
これまではロッキーの手前、自分の本心を言わなかったロバートでしたが、ようやくロッキーも世間から「過去の人」と認識されてきたのにまた目立つようになってしまう事に苛立ちを感じているのをロッキーにぶつけるわけです。
ここでのロッキーのセリフが今作の一番の名場面です。

「お前の歳ならもうわかるはずだ。人生はバラ色なんかじゃない。油断してると厳しく打ちのめされ、どん底まで叩き落とされる。人生ほど重いパンチは無い。だが大切なのはパンチを打たれないようにする事じゃない。たとえ強烈に打ちのめされても、耐えて前に進み続ける事だ。たとえ倒されても、何度でも立ち上がって前に進み続ける事だ!その先にあるのが勝利なんだ!自分の価値を信じるならパンチを恐れるな!人を指差して、自分の弱さをそいつのせいにするな!それは卑怯者のする事だ!お前が卑怯者のはずは無い!お前には俺の血が流れているんだ!………この先、何があっても俺はお前を愛し続ける。俺の人生で最高の宝物だ。だが、自分で自分を信じられなきゃ、それは自分の人生じゃないぞ」


小学校中退で口下手なロッキーですが、流石にそのロッキーも60歳ともなれば人生の蓄積があり、今までのシリーズを見続けてきたファンからすれば、これまでのロッキーの経験からくる重い人生訓だとわかります。

このあとロバートと和解し、本格的に試合に挑む事になります。


試合では当然ながらメイソン優勢でロッキーはメッタ打ち状態となります。
が、ここでシナリオ的に上手いのは、2ラウンド終盤でメイソンがボディ攻撃をしようとした時にロッキーの腰骨を殴ってしまい、左手の骨にヒビが入って痛めてしまったという事です。
これでメイソンはほぼ右手だけで戦わなくてはならなくなり、ロッキーが善戦してもおかしくない展開となったのです。
流石に60歳が現役世界チャンピオンとハンデ無しでまともに戦えるはずが無いですし、そこにスタローンの60歳とは思えないムッキムキの筋肉のおかげで説得力が生まれてくるわけです。
そして最後は最終10ラウンド(※世界戦ではない最高ラウンド数は10ラウンドと規定されている)まで戦い抜き、判定でメイソンの勝ちとなります。

そして試合の後日、エイドリアンの墓でロッキーはこう言います。

「Yo Adrian,We did it」

字幕や吹き替えでは「エイドリアン、やったよ」となっています。
このセリフは『ロッキー2』でロッキーがアポロに勝った時に言うセリフ、

「Yo Adrian,I did it!」

のオマージュです。
『ロッキー2』の時も翻訳は「エイドリアン、やったぞ!」でしたが、英語は苦手ですが、ちゃんと読み解くと、『ロッキー2』の時は「I did it」で、今作では「We did it」と複数系?になっています。
つまり「俺はやったぞ」から「俺たちはやったぞ」になっているわけです。
そこまで踏まえて観ると、とても感慨深いシーンとなっているのです。



他にももっと語りたい部分はある!
けど、今回はめっちゃ長くなっているし、あまり長くなりすぎてもまとまらなくなってしまうので、このくらいにしておきます。

『ロッキー』シリーズはこれで完結となりますが、次回は新たなシリーズの幕開けとなる『クリード』について語ります。



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