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【ネタバレあり】『クリード/炎の宿敵』感想

2019年1月11日。
公開初日の、最寄り映画館の初回上映で観てきました。

一言で言うならば「最高」です。

これまでの『ロッキー』シリーズの全てを詰めこんだような内容でした。
なので、この感動を語るにはネタバレ無くしては語れませんので、ネタバレが嫌だという方はここから先を読まずに引き返してください。





まず何から語ろうか……。

まずはざっくりとあらすじから。

今回のストーリー自体に特に驚きのようなものはありません。

「どうせ最後は主人公が勝つんだろ?」

その通りです。

なのでまずはざっくりと。

①主人公、アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)がヘビー級の世界タイトルマッチに挑戦し、勝利。父アポロと同じく世界チャンピオンに。

②その夜、恋人のビアンカ(テッサ・トンプソン)にプロポーズし、婚約する。

③『ロッキー4』の敵であり、アポロをリング上で殺したイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)の息子、ヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)がアドニスに挑戦を申し込む。

④アドニスは試合を受けると言うが、ロッキーは反対。試合をするならトレーナーをやめると言い、二人は決別する。

⑤試合は序盤からヴィクター優勢で、アドニスは叩きのめされるが、ダウンした状態のアドニスを殴った事でヴィクターの反則負けに。

⑥試合には勝ったものの実質負けていた事に自信を失うアドニス。そんな中、ビアンカが女の子を出産し父親となる。

⑦再びヴィクターから挑戦が来る。ロッキーと和解し、ヴィクター戦に向けて地獄のトレーニングを開始。

⑧ヴィクターの故郷、ロシアで再戦し、今度はアドニスが勝つ。



以上がざっくりとしたあらすじです。

おそらくファンならば「おおかた予想通り」という展開です。
ですが、その「予想通り」を踏まえた上での演出、ストーリー構成が光っていたと思えます。


ここでとりあえず、ロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)という人物について説明します。

ロッキーは貧しい家の生まれで、小学校中退という経歴の人物です。
そのため口下手で、自分の想いを上手く人に伝えられないというコンプレックスをもっています。
元々優しい性格で、いつでも人を笑わせたいという気持ちがあるものの、語彙力が乏しいせいで渾身のジョークはいつもスベっている。だけど根底に「人を笑わせたい」という優しさが溢れているからこそ、スベっているジョークでも人から受け入れられる。まさにアメリカの出川哲朗です。

そんなロッキーは息子のロバートとは疎遠な関係。
別に親子仲が悪いというわけでは無いが、有名人の父の近くにいるのが苦痛という理由で息子はカナダで暮らしており、ロッキーも息子の気持ちを尊重して一歩引いている状態。72歳にしてフィラデルフィアで独居生活。
だからこそ、自分を頼ってきた親友アポロの息子アドニスを実の息子のように愛している。

そこがまさに今回の作品の肝で、父親アポロを殺したドラゴの息子との試合を反対するわけです。
『ロッキー4』の時、ロッキーはアポロのセコンドについていましたが、アポロが「試合を止めるな」と言っていたせいでタオルを投げるのを躊躇し、結果としてアポロが死んでしまったのを30年以上も後悔し続けていました。

一方のドラゴもまた『ロッキー4』でロッキーに敗れてからは妻に捨てられ、国からも追放され、息子のヴィクターを復讐の道具として鍛え上げる事だけが生き甲斐となっていた。
『ロッキー4』の時は感情の無いロボットのような男でしたが、今回は暗い感情ではあるものの、人間らしさを見せる父親となっています。

そしてそのドラゴの息子、ヴィクターは自分を捨てた母親への憎しみと、父親のために戦う男として描かれています。



最後のアドニスとヴィクターの試合では、序盤こそ前回同様ヴィクター優勢でしたが、中盤以降はアドニスが巻き返し、ヴィクターを追い詰めていきます。
どうやらヴィクターは長いラウンドの試合は経験が無かったらしく、その差が出たようです。
そこもまた評価したいポイントでもあり、最後の勝敗の結果は観客は予想できているわけで、いつまでも勝ち負けの戦いを描写するのではなく、終盤はボロボロにされていくヴィクターを辛そうな顔で見つめるドラゴがタオルを投げて試合を止めるという結末でした。
この場面で、敵であるはずのヴィクターですが、ちょっと応援してしまっている自分がいました。
だってドラゴはアポロを殺しましたが、息子のヴィクターには何の罪もないわけですから。ただ父親から愛されたかっただけなんです。


そして試合終了後、ロッキーはアドニスに「これからはお前の時代だ」と言ってリングには上がらず、リングサイドの椅子に座ってアドニスの勝利を眺める背中が印象的でした。


後日談でアドニスは初めてアポロの墓に家族を連れて墓参りし、ドラゴ親子は二人で一緒にランニングをしている場面が描かれます。
一方ロッキーはカナダの息子の家を訪ねます。
息子の家の玄関をためらい気味にノックし、出てきたのは5~6歳くらいの、初めて会うロッキーの孫ローガン。
その後ろから顔を出す息子ロバートに対して、「やぁ、たまたま近くまで来たものだから」と、いつものスベり気味のロッキージョーク。
そして孫に対して「おじいちゃんだよ」というセリフで涙腺が決壊しました。

ロッキーのセリフで「おばあちゃんにそっくりだ」という言葉が出てきましたが、そう言われるとたしかにエイドリアン(タリア・シャイア)の面影にたしかに似ていました。このワンシーンのためにこの子役を見つけてきたのは素晴らしいと思います。


個人的に一番嬉しかったのは、ロッキーの「ボール」です。
実は1976年の『ロッキー』一作目の時から、ロッキーはいつも黒いボール(スーパーボールのようなもの)をポケットに入れていて、何か手持ちぶさたな時はそれを取り出しては地面に弾ませてキャッチするという、癖というか趣味のような場面があるのですが、今まで一度も登場人物がそのボールについて言及する場面はありませんでした。
それが今回、初対面の孫がロッキーの左手に握られているボールを見て、
「それ何?ボール?」と言及したのです。
そしてロッキーは「そうだよ。一緒に遊ぼうか」と答えるのです。
このシーンが個人的に一番ヤバかった。


以上が今回のストーリーの概要と個人的な感想です。
他にもいろいろとあります。
『クリード』の一作目にも出てたデルファイジムの黒人トレーナーが実はアポロのトレーナーだったデューク(トニー・バートン)の息子だったのか!とか。
でも、そんなのをいちいち挙げてたらキリがない。
それくらい今回の作品は今までの『ロッキー』シリーズの集大成であり、キャストもそうですが、詰め込めるものを全て詰め込みまくり、そして上手くまとめあげた秀作だと感じました。

この先も続編を作ろうと思えば作れなくは無いと思いますが、スタローン自身が言っているように、ロッキーを登場させるのはおそらくこれが最後だと思える内容となっています。


自分的には初めて『ロッキー』を観たのは14歳の中学生の時で24年間の付き合いとなる作品ですが、シリーズ的には42年という歴史となる名作です。
『ロッキー』シリーズを観た事が無いという方は、ぜひ一度ご覧になってみてください。
ロッキー・バルボアという男の不器用な優しさ溢れる物語。
そして、その魂を受け継いだアドニス・クリードの物語。
国や人種は違えど、人間ならば世界中の誰でも共感できる、骨太の人間ドラマだと思います。
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